聞こえにくさの感じ方や状況は、人によって本当にさまざまです。
生まれつき聞こえにくい人もいれば、年齢を重ねるにつれて少しずつ聞こえが低下していく人もいます。また、突発性難聴などの病気によって、ある日突然聴力が低下したり、聞こえにくくなったりする人もいます。
私自身も、聞こえにくさを感じるようになってから、初めて知った言葉があります。
それが 「中途失聴(ちゅうとしっちょう)」 という言葉でした。
この言葉を知ったことで、自分の聞こえにくさについて考えるきっかけになり、同じような経験をしている人たちの存在にも気づくことができました。
この記事では、「中途失聴」という言葉との出会いと、その言葉を知ることで感じたことについて書いていきたいと思います。
※本記事は筆者自身の体験をもとにした内容です。聞こえ方や困りごとは人によって異なります。症状や治療については、医療機関などの専門機関へご相談ください。
「中途失聴」という言葉を初めて知った
私が「中途失聴」という言葉を知ったのは、聴力が落ち、聞こえにくくなった頃に「聞こえ」に関することをネットで調べていた時です。
「中途失聴」という言葉は、これまで聞こえていた人が、人生の途中で聴力を失ったり、聞こえにくくなったりした場合に使われることがあります。
聞こえていた生活から、少しずつ、あるいは突然、「聞こえにくい生活」へと変化していくことがあります。
ただ、聞こえにくくなった時期や聴力、聞こえ方、コミュニケーション方法などは人によって異なります。
私自身も、聞こえにくくなった当初は、自分の状態をどのように表現すればいいのか分かりませんでした。
「難聴」という言葉は知っていましたが、「中途失聴」という言葉は知りませんでした。
「中途失聴」という言葉を初めて見たとき、正直なところ少し戸惑いました。
特に「失聴」という言葉に、「失う」というイメージがあったからです。
自分では「聞こえにくくなった」と考えていたので、「失聴」という言葉を自分に当てはめていいのかも分かりませんでした。
それでも、その言葉をきっかけに、自分と似た経験をしている人がいることを少しずつ知っていきました。
この言葉を知ったことで、「自分と似た経験をしている人に出会えるかもしれない」と考えるようになりました。
聞こえにくくなって感じた不安
私の場合、両耳の聴力が 65デシベル程度 まで下がった頃から、日常生活に不安を感じるようになりました。
それまで当たり前のように聞こえていた音が、次第に聞こえなくなってきたのです。
例えば、
- 電車の車内アナウンス
- 後ろから近づいてくる自転車の音
- 人が呼びかけている声
こうした音に気づきにくくなり、「生活の中で危険な場面もあるのではないか」と感じるようになりました。
それと同時に、こんな疑問も生まれました。
「同じくらいの聴力の人は、どのように生活しているのだろう?」
そんなことを考えるようになってから、仕事や普段の生活で困ることも気になり始めました。
仕事について
例えば、仕事に関してはこんな疑問が浮かびました。
- この聴力で、みんなはどんな仕事をしているのだろう?
- 電話対応がある仕事はできるのだろうか?
- 職場で理解してもらえるのだろうか?
実際に働くことを考えると、電話だけではなく、後ろから声をかけられたときや、複数人で話しているときなど、さまざまな場面で「聞こえなかったらどうしよう」と考えることが増えました。
「聞き逃したことがきっかけで、周りに迷惑をかけたらどうしよう」と不安になることもありました。
働くことは生活にも関わるため、当時の私にとっては大きな不安の一つでした。
実際に🔗補聴器をつけて働く中で感じたことや、職場での「伝えること」については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
日常生活について
生活の中でも、不安はたくさんありました。
例えば、
- インターフォンの音が聞こえなかったらどうするのか
- 宅配便が来ても気づけなかったらどうしよう
- 火災報知器の音が聞こえなかったら危険ではないか
などです。
それまで特に意識していなかった音が、聞こえにくくなったことで急に気になるようになりました。
「今まで普通にできていたことが、これからも同じようにできるのだろうか」
そんなことを考えるようになったのを覚えています。
ネットで情報を探しても分からなかったこと
不安を解消するために、私はインターネットで情報を探しました。
「難聴」というキーワードで検索すると、多くの情報が出てきます。
私が検索したときには、
- 医療的な説明
- 症状や治療について
- 補聴器の広告
といった情報が多く目に入りました。
もちろんそれらも大切な情報ですが、私が知りたかったのは
「聞こえにくさを感じながら、仕事や日常生活をどう工夫しているのか」
というリアルな体験談でした。
しかし、当時はなかなかそうした情報を見つけることができませんでした。
「中途失聴」という言葉が教えてくれたこと
この言葉との出会いは、インターネットで情報を探すだけではなく、実際に外に出て行動するきっかけにもなりました。
その一つが、手話を学ぶことでした。
🔗手話を学び始めたきっかけや、講習会に通って感じたことについてはこちらの記事で詳しく書いています。
初めは、「いろいろな人と交流するために、手話ができたら便利かな?」というくらいの気持ちでした。
ところが、手話を学ぶ中で、さまざまな生き方をしている人たちと出会うことができました。
例えば、聞こえにくさを抱えながら働いている人、家庭を支えながら生活している人、地域活動やボランティアに参加している人などです。
それまでの私は、聞こえにくさについて一人で考えたり、インターネットで情報を探したりすることが多かったように思います。
実際に人と会って話をすることで、「自分とは違う経験をしている人もいるんだ」と知ることができました。
新しいコミュニケーション方法を知ったことで、自分の世界が少し広がったように感じています。
あのとき一歩踏み出して、良かったと思います。
聞こえにくさと向き合う中で変わったこと
私にとって、聞こえにくさと向き合うことには、不安や孤独を感じる場面もありました。
周りの人には聞こえていることが、自分には聞こえない。そんな場面が重なると、「自分だけが困っているのではないか」と感じることもありました。
特に、聞こえにくくなったばかりの頃は、自分と同じような経験をしている人がどこにいるのかも分かりませんでした。
しかし、「中途失聴」という言葉を知ったことで、少しずつ見方が変わっていきました。
- 同じような経験をしている人がいる
- 聞こえにくさについての情報や支援がある
- 工夫しながら生活している人がいる
ということを知るきっかけになったからです。
それまでは「聞こえにくくなった自分は、これからどうすればいいのだろう」と考えることが多かったのですが、いろいろな人の経験を知ることで、「自分なりの方法を探していけばいいのかもしれない」と思えるようになりました。
「中途失聴」という言葉を知ったことは、私にとって、自分だけで悩むのではなく、同じような経験をしている人や、さまざまな情報に目を向けるきっかけになりました。
もし聞こえにくさを感じたら
もし、あなたや身近な人が聞こえにくさを感じているなら、「難聴」という言葉だけでなく、「中途失聴」という言葉でも検索してみてください。
私自身、「中途失聴」という言葉を知ったことで、それまでとは違う情報を探せるようになりました。
同じような経験をしている人の体験談や、聞こえにくさを抱えながら生活するための工夫、支援やコミュニケーションについて知るきっかけにもなりました。
もちろん、聞こえ方や困っていることは一人ひとり違います。
それでも、自分の状況を表す言葉を一つ知るだけで、検索できる情報の幅が広がることがあります。
私にとって「中途失聴」という言葉との出会いは、自分の聞こえにくさについて考えたり、同じような経験をしている人の存在を知ったりするきっかけになりました。
このブログで伝えていきたいこと
私がこのブログを書こうと思ったのは、聞こえにくくなった当時の自分が、もっと身近な体験談を知りたかったからです。
医療的な情報だけではなく、実際に聞こえにくさを感じながら生活している人が、仕事や日常生活でどんなことに困り、どんな工夫をしているのか。
私自身、実際に生活してみて初めて分かったことがたくさんありました。
このブログでは、私自身の経験をもとに、補聴器や仕事、手話、日常生活など、聞こえにくくなってから感じたことや工夫について発信していきたいと思っています。
同じように聞こえにくさを感じ始めた人が、「自分だけではない」と思えるような体験や情報を、少しずつ残していけたらと思っています。

コメント
初めまして!
ブログを拝見しました。
中途失聴という言葉を知れて勉強になりました!
ブログの更新楽しみにしています!