「インカムを使う仕事」と聞いたとき、どんな仕事を思い浮かべますか?
アパレルショップや家電量販店、映画館、イベント会場など、スタッフ同士が連絡を取り合うためにインカムを使っている職場は少なくありません。
聞こえにくさがある人にとっては、こうした仕事の環境が気になることもあると思います。
先日、サングラスを買いにメガネ店へ行ったとき、偶然にも補聴器を使っている店員さんと出会いました。
その方との会話をきっかけに、耳元に装着するものの不便さだけでなく、大学時代に考えていた仕事のことまで思い出しました。
「やりたい仕事」と「自分の聞こえ方」は、どこまで両立できるのだろう。
今回は、補聴器を使っている私自身の経験から、インカムと仕事、そして聞こえにくさとの付き合い方について考えてみたいと思います。
※本記事は筆者個人の体験をもとに執筆しています。聞こえ方や補聴器の使用感には個人差があります。症状や治療、補聴器の調整などについては、医療機関や専門機関へご相談ください。
サングラスを買いに行った日、思いがけない出会いがあった
夏の日差しが強く感じられるようになり、目の負担を減らすためにサングラスを新しく購入しようと思い、メガネ店へ行きました。
そこで対応してくださった店員さんが、実は補聴器を使用している方でした。
私が補聴器を装用していることに気づいた店員さんが、自然な様子で話しかけてくれました。
「私も補聴器をしているんですよ。今は片方がインカムなので外していますが、補聴器に干渉しないようにフレームを調整しましょうね」
その言葉を聞いた瞬間、少し距離が縮まったような感覚がありました。
普段、補聴器を使っている人同士であれば、細かな説明をしなくても伝わることがあります。
私は思わず、
「メガネに補聴器、それにマスクまで重なると、耳元がいつも渋滞して大変なんです」
と話しました。
すると店員さんも、
「本当にそうですよね」
と共感してくれました。
メガネ、補聴器、マスク。
一つひとつは小さなものですが、耳の周りにいくつも装着するものが重なると、意外と気になることがあります。
こうした感覚は、実際に経験している人だからこそ分かる部分もあるのだと思います。
この日はサングラスを買いに行っただけでしたが、思いがけず「聞こえ」について話せる相手に出会えたことが印象に残りました。
補聴器ユーザーにとっての「耳元問題」
補聴器を使っていると、日常生活の中で耳の周りに装着するものが増えることがあります。
例えば、
- メガネ
- マスク
- 帽子
などです。
すべての人が同じように困るわけではありませんが、複数のものを同時に身につけることで、装着時の違和感や落下への不安を感じることがあります。
私自身も、メガネと補聴器、マスクが重なると、耳の周りが窮屈に感じることがあります。
特に仕事では、プライベートとは違って長時間装着することもあります。
今回、補聴器を使っている店員さんと話したことで、「この小さな不便を感じているのは自分だけではない」と思えたことも、私にとっては大きな出来事でした。
店員さんが使っていた「インカム」が気になった
一方で、その日もう一つ気になったのが、店員さんが使っていたインカムでした。
インカムは、スタッフ同士が離れた場所から連絡を取り合うために使われる機器です。
店舗やイベント会場などでは、スタッフ間の情報共有をスムーズにするために使われています。
例えば、
- アパレルショップ
- 家電量販店
- 映画館
- 携帯ショップ
- イベント会場
- テーマパーク
- 飲食店
など、さまざまな場所で見かけることがあります。
インカムを使えば、スタッフがその場を離れずに連絡を取れるというメリットがあります。
一方で、聞こえにくさがある人にとっては、ハードルが高い場合もあります。
音そのものは聞こえていても、何と言っているのか言葉を聞き分けることが難しい場合があるからです。
また、相手の顔や口元を見ることができない状態で音声だけを聞くため、普段の対面での会話とは違った難しさを感じることもあります。
もちろん、聞こえにくい人が全員インカムを苦手とするわけではありません。
同じ「聞こえにくさ」があっても、インカムに対する感じ方は人それぞれなのだと思います。
大学時代に感じた「やりたい仕事」と「聞こえ」の相性
インカムという言葉を聞いて、私は大学時代のことを思い出しました。
演劇が好きな私は、劇場でアルバイトをしてみたいと思っていた時期があります。
舞台を見ることが好きだったので、表から見るだけではなく、劇場の裏側の仕事にも興味がありました。
しかし、劇場や映画館などの仕事では、インカムを使う場面があります。
友人が映画館でアルバイトをしており話を聞くたびに、「いいな」と思ったこともありました。
それでも、私はその仕事を選びませんでした。
当時の私は、現在よりも聞こえていたものの、イヤホン越しの音声を長時間集中して聞き続けることに疲れを感じていたからです。
「やってみたい」という気持ちはありました。
でも、自分の聞こえ方や疲れやすさを考えると、聞き間違えで迷惑をかけてしまうかもしれない。
そう考えて、その仕事を選ばないという判断をしました。
自分が無理なく続けられる仕事なのかを考えた結果だったのだと思います。
仕事の中にある「インカム」という壁
インカムを使うことが仕事の中心ではなくても、勤務先や担当業務が変わることで、突然使用することになる可能性もあります。
例えば、
- 繁忙期の応援
- イベント対応
- 店舗内の配置変更
- 新しい部署への異動
- 新しい業務の担当
などです。
これまで使ったことがなかった機器を突然使うことになれば、聞こえにくさがある人にとっては不安になるかもしれません。
私自身も、仕事では「聞こえないこと」そのものよりも、「聞き取れなかったことで仕事に支障が出ないか」と考えてしまうことがあります。
だからこそ、必要な場合には、自分の聞こえについて職場に伝えておくことが大切だと思います。
聞こえにくさを職場でどう伝えるかについては、実際に働く中で私が感じたことを別の記事にまとめています。
聞こえにくさを「できない」で終わらせない
聞こえにくさについて職場に伝えるとき、私は「できません」とだけ伝えるよりも、「こうすれば聞き取りやすく、内容も理解しやすくなります」と伝えることが大切だと考えています。
もちろん、職場によってできる対応は違います。
すべての希望がそのまま実現するとは限りません。
それでも、自分の聞こえ方や苦手な状況を知っていれば、「何に困っているのか」を説明しやすくなります。
そして、周囲にとっても具体的なほうが対応を考えやすいのではないでしょうか。
自分の「聞こえ」を知っておくことの大切さ
今回の出来事をきっかけに、改めて自分自身の聞こえ方を知っておくことが大切だと感じました。
例えば、
「どんな場所だと聞き取りにくいのか」
「どんな話し方なら聞き取りやすいのか」
「対面と電話ではどちらが聞き取りやすいのか」
「文字で確認すると理解しやすいのか」
などです。
こうしたことを普段から自分なりに把握しておくと、仕事で困ったときにも説明しやすくなります。
私の場合も、大学時代に「イヤホン越しの音声を長時間聞くことが負担になる」と感じていたからこそ、仕事を選ぶ際の判断材料にすることができました。
聞こえにくさは、外から見ただけでは分かりにくいことがあります。
だからこそ、自分自身が「何に困るのか」を言葉にできることは、大切なことだと思います。
「やりたい仕事」を最初から諦めなくてもいい
ここまで書いてきましたが、私は「聞こえにくいなら、インカムを使う仕事を避けたほうがいい」と言いたいわけではありません。
むしろ、今回メガネ店の店員さんと出会ったことで、そうした先入観を持たないことも大切だと感じました。
私には負担だったことでも、別の人にとっては問題なくできることがあります。
だからこそ、仕事を選ぶときに、
「難聴だから無理」
と最初から決めてしまうのではなく、
「自分の場合は何が負担になるのか」
「どのような環境なら働きやすいのか」
「必要な工夫をすればできるのか」
と考えてみることが大切なのだと思います。
もちろん、安全面や仕事上必要なコミュニケーションを考える必要はあります。
それでも、聞こえにくいからといって、選択肢を必要以上に狭める必要はないのではと思いました。
大切なのは、「難聴者に向いている仕事」を決めることではなく、自分にとって何が負担で、どんな環境なら無理なく働けるのかを知っておくことなのだと思います。
まとめ|聞こえ方と仕事の向き合い方を考えるきっかけに
今回、サングラスを買いに行ったメガネ店で、偶然補聴器を使っている店員さんに出会いました。
その方がインカムを使って仕事をしている姿を見て、私は大学時代の仕事選びを思い出しました。
改めて、
「聞こえにくさがある人にとって、仕事とは何だろう」
と考えるきっかけになりました。
補聴器を使いながらインカムで働いている店員さんに出会ったことで、聞こえにくさがあるからといって、最初から仕事の可能性を決める必要はないのだと思いました。
そのことを気づかせてもらえた心温まる出会いに感謝です。
大切なのは、「できる・できない」だけではなく、自分の場合は何が負担なのかを知っておくこと。そして、必要なときには周囲に伝えること。
私自身も、これから仕事を選んだり、働き方について考えたりするときには、そのことを忘れないようにしたいと思います。
この記事が、聞こえにくさがありながら仕事をしている方や、これから仕事を選ぼうとしている方にとって、自分の「聞こえ」と仕事について考える小さなきっかけになれば嬉しいです。



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