3月3日はひな祭りとして知られていますが、実は「耳の日」でもあります。
数字の「3」が耳の形に似ていることから、1956年に日本耳鼻咽喉科学会によって「耳の日」と定められました。
耳や聞こえに関する理解を深め、聴覚障害について広く知ってもらうことを目的として、全国各地でさまざまな啓発活動が行われています。
今回は、先日開催された「耳の日記念文化祭」に初めて参加してきたので、その様子や感じたことを書いてみたいと思います。
耳の日記念文化祭とは?
耳の日記念文化祭は、公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構 東京聴覚障害者連盟が主催するイベントです。
2026年は2月21日・2月22日の2日間にわたって開催され、今回で第55回目という長い歴史を持つ啓発活動のひとつとなっています。
会場は東京都障害者福祉会館。
入場料は1日500円で、誰でも参加可能です。
毎年開催されているイベントですが、私は今回が初参加でした。
会場の雰囲気と多彩なブース
会場ではさまざまな催しが行われており、想像していた以上に内容が充実していました。
主なブースは以下の通りです。
- 聴覚障害者コミュニティによる物販
- 福祉機器・情報機器の展示
- 手話関連書籍の販売
特に印象的だったのが書籍販売コーナーです。
手話に関する本が中心に並び、手話検定の教材も豊富にそろっていました。
これから手話検定を受験しようと考えている方にとっては、実際に本を手に取って比較できる貴重な機会だと感じました。オンラインでは分かりにくい内容の違いも、その場で確認できるのは大きなメリットです。
手話の「歴史」に触れられる展示
これまで参加してきたイベントと大きく違うと感じたのは、手話に関する団体の参加が多かった点です。
中でも興味深かったのが、手話の歴史展示でした。
手話は固定されたものではなく、時代とともに表現が変化していることが紹介されており、「言語として生きている」ということを実感しました。
普段何気なく使われている表現にも背景や変遷があることを知り、新しい視点を得ることができました。
また、聴覚障害者福祉事業協会のブースもあり、関連団体の多さや活動の幅広さについて学ぶ良い機会となりました。
福祉機器の情報は意外とまとまっていない?
会場では手話仲間と偶然会い、一緒に回ることになりました。その際、印象に残った会話があります。
「聴覚障害者向けの福祉機器って、分かりやすくまとまった冊子があまりないよね」
私も以前からそのように強く思っていました。
視覚障害者向けには情報が整理された冊子が存在するそうですが、聴覚障害者向けの機器情報は個別に調べる必要があります。
今回の展示を通して感じたのは、
- 機器を扱う会社が多数存在すること
- 障害者手帳の等級によって補助内容が大きく異なること
など、事前には分かりにくい情報が多いという点でした。
実際には、自治体や専門機関へ一つひとつ確認しなければ分からないことも多く、情報の集約の重要性を強く感じました。
このような文化祭は、そうした「知らなかった情報」に出会える貴重な場でもあると感じます。
記念講演とスペシャルトーク
文化祭の目玉は、記念講演とスペシャルトークです。
これらのプログラムに参加するには整理券が必要で、定員は約100名。
私はその仕組みを知らずに訪れたため、最初の記念講演の長い列を見て驚きました。
幸いにも、次の「スペシャルトーク」には参加することができました。
ゲストは、昨年のデフリンピックで活躍された女子サッカー日本代表の選手でした。
お話の中で印象的だったのは、サッカーだけでなくフットサルにも取り組み、今後はしばらくフットサルに専念する予定だということです。もちろん日本代表としての活動です。
二つの競技を高いレベルで両立されている姿に、思わず感嘆してしまいました。
また、デフ女子サッカーではアメリカが非常に強いとのこと。その理由として挙げられていたのが「環境の違い」でした。
アメリカでは大学段階から、
- 競技活動への金銭的支援
- トレーニング環境の整備
- 継続的な競技サポート
が充実しているそうです。
スポーツにおいて、個人の努力だけでなく環境が大きな影響を与えることを改めて実感しました。
初参加して感じたこと
今回初めて耳の日記念文化祭に参加して感じたのは、「知ること」の大切さです。
普段生活しているだけでは触れる機会の少ない情報や活動が、ここには数多く集まっていました。
- 手話の文化や歴史
- 福祉機器の最新情報
- 当事者や支援団体の活動
- デフスポーツの現状
どれも実際に足を運んだからこそ得られた学びです。
また、来場者同士の交流も自然に生まれており、コミュニティとしての温かさも感じられました。
耳の日をきっかけにできること
「耳の日」は、聴覚について考えるきっかけの日です。
専門的な知識がなくても、
- 手話に少し興味を持つ
- 聴覚障害について知る
- 支援活動を知る
といった小さな一歩から理解は広がっていくのだと思います。
今回の文化祭への参加を通じて、情報を知る機会の重要性と、社会全体で理解を深めていく必要性を改めて感じました。
来年も開催される際には、ぜひ多くの方に足を運んでみてほしいイベントです。
耳の日をきっかけに、「聞こえ」について少し考えてみてはいかがでしょうか。

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