聞こえにくい私が家の中でしている工夫|補聴器と暮らす生活

日常生活

1.はじめに|家の中なら聞こえると思っていた

結婚して実家を出たタイミングで、聴力が良かった方の耳を手術しました。

それまで実家暮らしだった私は、家事など、自分で生活を回していかなければならない中で聴力が変化したことで、家の中でも、たくさんのことを音に頼って生活していたことに気づかされました。

テレビ、インターホン、電子レンジ、洗濯機などの音です。

中でも驚いたのが、術後に壊れてしまったキッチンタイマーを買い替えたときのことです。

補聴器をつけているはずなのに、新しいキッチンタイマーの音が聞こえないことに気づきました。

「家の中なら、ある程度は聞こえるだろう」と思っていた私にとって、これは意外な出来事でした。

そんなこともあり、家の中でも音だけに頼らず、自分なりに工夫するようになりました。

※本記事は筆者個人の体験をもとに執筆しています。聞こえ方や補聴器については個人差があります。症状や治療については、医療機関へご相談ください。


2.家の中で困ったことと、実際にしている工夫

家の中で生活していると、「ここも音に頼っていたんだ」と気づかされる場面がたくさんあります。

ここでは、実際に私が家の中で困ったことと、それに対して現在している工夫を紹介します。

① 家族から声をかけられても気づかない

別の部屋にいると分からない

コロナ禍を経て気がついたことの一つに、私は口元や表情を見ながら会話していたということがあります。

そのため、顔が見えない状態で話しかけられると、100%聞き取って意味を理解することができません。

以前、主治医が家族に「最初に名前を呼んであげて」と説明してくれたことがあります。

それもあって、家族は最初に私の名前を呼んでくれるようになりました。

名前を呼ばれると、私はその場まで行って話をするというスタイルで生活しています。

話をするときは作業の手を止めるので、聞こえている人同士のように、何かをしながら気軽に雑談するという形とは少し違うかもしれません。

でも、私にとっては、その方が会話に集中できます。

後ろから話しかけられると聞き取りにくい

これも個人的な感覚ですが、私の場合は補聴器をつけていても、正面から話しかけてもらった方が聞き取りやすく感じます。

そのため、後ろから話しかけられると聞き取りにくいことがあります。

別の部屋から声をかけられたときと同じように、声が聞こえたらその場まで行き、相手の顔を見て話すようにしています。

家事をしていると音に気づきにくい

水仕事などをしていると、聞こえている人でも周囲の音に気づきにくいことがあるのではないでしょうか。

聞こえにくい私の場合は、なおさらです。

家事をしているときは音だけを頼りにするのではなく、できるだけ目で確認するようにしています。

② テレビの音が聞き取りにくい

音量を上げても全部が聞き取りやすくなるわけではない

補聴器をつけているからといって、テレビの言葉がすべてはっきり聞き取れるわけではありません。

人によって違うと思いますが、私の場合は、どうしても聞き取りにくい言葉や声の高さがあります。

だからといって音量を上げすぎると、今度は近所への音漏れも気になります。

そこで、自分の中で音量の上限をだいたい決めて、字幕をつけて視聴しています。

会話が聞き取りにくくなることがある

窓を開けていると、外の音が入ってきます。

また、私の場合は風の音が気になり、テレビの会話が聞き取りにくくなることがあります。

きちんと内容を見たいときは、窓や部屋の扉を閉めるようにしています。

ドラマなどで聞き逃すことがある

ドラマなどを見ていると、どうしても聞き逃してしまう場面があります。

そんなときは、字幕を頼りにしています。

字幕があることで、聞き取れなかったセリフも確認できるので、私にとってはテレビを見るときの大切な助けになっています。

私が普段どのように字幕を利用しているか、字幕付きの動画配信サービスについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

③ インターホンに気づきにくい

インターホンは、私にとって「鬼門」ともいえる存在です。

別の部屋にいたり、何かに集中していたりすると、インターホンが鳴っても気づかないことがあります。

補聴器を外しているタイミングもあるため、それによって荷物が再配達になってしまったこともありました。

そこで、宅配便については、事前に荷物が届くことが分かるよう、運送会社の会員サービスなどに登録して、時間指定を利用しています。

マンションに宅配ボックスがあることも、とてもありがたいです。

また、我が家はカメラ付きのインターホンなのですが、カメラ越しでも音声は聞き取りにくいと感じます。

最近では、インターホンの音声を字幕などで確認できる仕組みについて研究されているという話も耳にしました。

こうした仕組みが実用化され、聞こえにくい人にも使いやすいものとして広まってくれたらと思っています。

④ 電子レンジ・洗濯機などの終了音

音だけで知らせる家電は気づけない場合がある

電子レンジをはじめ、家電製品の多くは、終了や異常を音で知らせてくれます。

昔は聞こえていた音が聞こえなくなったことで、「やってしまった」と思うこともいくつもありました。

たとえば、

  • 冷蔵庫がきちんと閉まっていない状態で、半日ほど放置してしまった
  • 洗濯機を回したまま、終了したことに気づかずしばらく放置してしまった
  • 水をしばらく出しっぱなしにしてしまった

などです。

はじめは「こんなことも気づけないのか」とショックでした。

でも、ほかの聞こえにくい方の話を見たり聞いたりしていると、同じような経験をしている方もいることを知りました。

「私だけではないんだ」と思えたことで、少し気持ちが楽になったのを覚えています。

今では、少なくとも出かける前には、冷蔵庫や水道、家電などを目で確認するよう心がけています。

⑤ 電話・スマートフォン

電話も、私にとって気づきにくいものの一つです。

年齢を重ねるにつれて、「もし緊急の連絡が来たらどうしよう」という不安も感じるようになりました。

そこで現在はスマートウォッチを使用し、外出中でも電話や通知などの連絡に気づけるようにしています。

また、テレビドラマを見ていて知った機能があり、それも最近では設定して利用しています。

通知が来ると、スマートフォンのフラッシュ部分を光らせて知らせてくれる機能です。

音だけでは気づけないことがあっても、光なら目で見て分かります。

こうした視覚的な通知機能も、私にとっては便利な工夫の一つになっています。


3.家の中での補聴器との付き合い方と、家族との生活

補聴器ですが、私の場合、家にいるときも常につけっぱなしというわけではありません。

一日中つけていると、耳が蒸れて痒くなってしまうことがあるためです。

そのため、家にいるときは、補聴器を外して耳を休ませる時間も作っています。

ただ、これはあくまでも私個人の場合です。

私自身は家の中で補聴器を外していることもありますが、家族からは「できればつけていてほしい」と言われたことがあります。

家族からすると、

「火災などの緊急時に気づけるの?」

「インターホンに気がついてほしい」

という心配があるそうです。

言われてみれば、確かにそうだと思いました。

私にとっては「少し耳を休ませたい」という気持ちがあっても、家族にとっては「何かあったときに気づけるのか」という別の心配があるのです。

そのため、状況によっては片方だけ補聴器をつけていることもあります。

家の中だからといって、いつでも補聴器をつけていればいい、外していればいい、という単純な話ではありません。

自分の耳の状態や過ごし方だけでなく、家族との生活や、もしものときのことも考えながら、家族とも相談しつつ生活しています。

私が補聴器を使い始めたころのことについては、こちらの記事に詳しく書いています。


4.実際に工夫してみて変わったこと

視覚情報に頼るようになったことは確実です。

以前は、何かをしながら別のことをする、いわゆる「ながら作業」をよくしていました。

テレビを見ながら家事をしたり、家事をしながら家族と話したりすることもありました。

でも、聞こえにくくなってからは、音だけを頼りにすることが難しくなりました。

そのため、今は必要に応じて作業の手を止め、目で確認することが増えました。

たとえば、家電がきちんと動いているか、冷蔵庫が閉まっているか、水を出しっぱなしにしていないかなど、音で知らせてくれることも目で確認するようになりました。

テレビを見るときも、字幕を使うことで聞き取れなかった部分を補っています。

家族との会話でも、聞こえなかったときは作業を続けながら無理に聞こうとせず、手を止めて相手の顔を見るようになりました。

以前のように「音が聞こえること」を当たり前にして生活するのではなく、目で確認することを意識するようになったのです。


5.それでも「聞こえない」ことはある

いろいろと工夫をするようになりましたが、それでも聞こえない音はあります。

冷蔵庫が開きっぱなしになっていることを知らせる音など、補聴器をつけていても気づけない音もあります。

最近も、ご飯が炊き上がったときに炊飯器から音がすることを、家族に教えてもらって初めて知りました。

「炊飯器って、こんな音が鳴っていたんだ」と、少し驚きました。

以前なら自然に耳に入っていた音も、聞こえにくくなってからは、聞こえているとは限りません。

そのため、家の中でも「音が聞こえること」を前提にできなくなりました。

それでも、目で確認したり、家族に協力してもらったり、自分なりの工夫をしたりすることで、以前より安心して生活できるようになりました。

補聴器をしても、すべての音が聞こえるようになるわけではありません。

だからこそ、「聞こえないことがある」という前提で、自分にできる方法を探していくことが大切なのだと思っています。


6.まとめ|家の中だからこそ、自分に合う工夫を

家の中で生活していると、思っていた以上に「音」に頼っていることに気づきます。

聞こえにくくなってからは、テレビやインターホン、家電の終了音など、以前なら自然に気づいていた音が聞こえないことも増えました。

音だけでなく、視覚情報で知らせてくれる福祉機器などもあります。

最近では、スマートフォンの点滅や通知機能など、音以外の方法で知らせてくれるものもあります。

ただ、すべてをそろえるのは簡単なことではありません。

だからこそ、今あるものを使いながら、自分なりにできる工夫を少しずつ取り入れていくことも大切なのだと思います。

私自身も、目で確認する、字幕を使う、家族に協力してもらうなど、そのときどきで方法を変えています。

聞こえにくくなったことで、以前とは違う生活の仕方になりました。

それでも、自分に合った方法を探しながら、これからも安全に、できるだけ快適に過ごせるよう工夫していきたいと思います。

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